ここから、はじまる“八ヶ岳南麓ボッサ”
『Sketchbook/ナナマリ』
2016年6月22日リリース!
01. ボクBossa Novaくん
02. 秋の湖~Outono~
03. 君は笑うかな
04. 蝉
05. 人類最大の発明
06. 君がいない世界
07. やつらの足音のバラード
08. ツリーハウスの朝
09. まきばの羊
(八ヶ岳観光圏「まきばレストラン」テーマ曲)
10. いやしのうた
作詞・作曲;ナナマリ
track7のみ 作詞;園山俊二/作曲;かまやつひろし
品番;BRSR-CD007/定価;2500円(税別)/発売元;Bright Sun's Record(株)
♪本作の紹介映像ができました。全曲試聴ができます。
是非ご覧下さい!
♪本作収録の「ボク Bossa Nova くん」が、イラストレーターのほんだゆきこさんとの
コラボレーションにより、とっても可愛いアニメになりました!
「ボク Bossa Nova くん」ショートバージョン
全国のCDショップ、インターネット通信販売でもお求め頂けます。
ほか
<参加ミュージシャン>
ナナマリ(Vocal, Chorus, A.Guitar, E.Bass, Mandolin)、マツモニカ(Harmonica)、
須藤 かよ(Accordion)、帆足 彩(Violin)、伊澤 陽一(Steelpan)、Gustavo Anacleto(Flute)、
山口 友生(Ukulele)、和田 充弘(Trombone)、鈴木 厚志(Piano)、村上 聖(A.Bass, E.Bass)、
新岡 誠(A.Bass)、服部 正美(Drums, Percussion, Chorus)、平井 景(Drums, Percussion)
Sound Producer : nanamari and Kay Hirai
Recorded by nanamari
Mixed and mastered by Shinichi Akagawa
Recorded at FOREST SOUNDS (Yamanashi,Japan)
Cover Design by Naoko Takaoka
Cover Photos by Kay Hirai
at cafe goya nohara (Yamanashi,Japan)
Co-Producer : Naoko Shimada
Producer : Kay Hirai
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東京から中央高速を走ること、2時間あまり。涼しい空気が流れてきたかと思うと、眼前には南アルプスの山々と緑多き山林が広がる。そこは山梨県と長野県の境に位置する八ヶ岳連峰の麓。夏の避暑地とは言え、オールシーズン、この地で暮らしている人ももちろんいる。秋までに薪を備え、冬支度をし、雪が積れば、家で何日も静かに過ごす。都会の喧騒から離れ、自然と生きる暮らしは、本当に別世界のようである。
ナナマリも、この森の中で生活をしている。四季折々の風景、自然の音、心で感じるもの全てが、メロディになり、詞になり、歌になっている。きっと誰もが癒される、穏やかで爽やかなイメージを持つことだろう。
しかし、彼女の作品は、少し違う視点から捉えたメッセージが加わっているのが独特だ。聴けば聴くほど味わい深い。
例えば、枯れ葉散る秋の情景を歌う、本作収録の「秋の湖」。実は「冬仕度をしておかないと、寒くなってからじゃ、冬が越せないよ」と伝えている。まるでアリとキリギリス。私も自分を振り返って、はっとさせられた。また、「ボクBossa Novaくん」も面白い。実は、ボサノヴァの誕生をモチーフにしていて、その音楽へのリスペクトに溢れている。
どの曲も、独自の哲学を持ったナナマリの世界観があり、「それって、そうかもしれないよね」と、なんだか納得させてしまうのが彼女の詞のマジック。メロディも、ついつい口ずさんでしまう。覚えやすいポップなもの、ギュッと心が掴まれる郷愁感に満ちたもの、どれも彼女の作曲能力の高さを感じさせるものばかり。そこにボサノヴァやジャズのアレンジが施され、洗練されたサウンドが産み出されている。
高校時代にギターを始めた彼女は、卒業後、女性シンガーとポップスバンドを結成し、独学の作曲とエレキギターを担当した。その後は、ブラジル音楽に目覚め、ギターを長澤紀仁氏に師事。歌も始めた事で、ギター弾き語りが、彼女の演奏スタイルになった。同時に作曲活動も活発で、TV番組や舞台、メジャーアーティストに楽曲提供している。
2008年、1stCD『雨粒』でデビュー。’09年、シングル『ポチ』を発表。’13年、70年代フォークをボッサにアレンジしたCD『クーラーカフェ“ノスタルジー”』は話題を呼ぶ。’15年、ボサノヴァの創始者、アントニオ・カルロス・ジョビンのカヴァー集をリリース。今回の新作『Sketchbook』は、実に7年ぶりのオリジナル作品になるのである。
ロックやポップス、そしてボサノヴァにあるハーモニーの繊細さとリズムの奥深さを吸収し、自分のフィルターを通して作り上げたのが、今の彼女の音楽。
アルバムの中でも実際に、ブラジル音楽特有の楽器やアレンジを施したものもあり、ボッサのスタイルが取り入れられている。しかし、サウンドから広がる景色は、ブラジルの“海”ではなく、まさに日本の“山”や”高原“。
その全てを、言葉で表現するとしたら…。
やはりそれは、ナナマリの言う“八ヶ岳南麓ボッサ”がぴったりとくる。
参加ミュージシャンは総勢12人。曲によって、色々な音が聴こえてくるのが贅沢で楽しい。アレンジやレコーディングは、なんと彼女自身によるもの。表現したい理想の形を、まず自分の手で作ってみる事から始めた。その後、長年にわたり信頼関係を築いてきたドラマー、平井景に全体のプロデュースを依頼、彼が主宰するBright Sun’s Recordからリリースすることになった。私も副プロデュースとして加わり、3人で何度も何度もアイディアを出し合い、時には録音を追加し、アルバム完成に向けて力を注いだ。音のミキシングを、トップ・エンジニア赤川新一氏に託した事で、より立体的で深みのある音になった。是非、このアルバムは、音のヴォリュームを普段より2割増しで聴いてほしい。こだわりの上質で温かい音を堪能してもらえると思う。
八ヶ岳の自然に育まれた、音の“スケッチブック”。いよいよ、世に放たれる。ナナマリの“八ヶ岳南麓ボッサ”が、ここから始まる。
<島田奈央子・音楽ライター>